バイオディーゼル燃料とは?種類や強み・弱みを解説

バイオディーゼル燃料とは?種類や強み・弱みを解説

はじめに

地球温暖化対策の切り札として注目される「バイオ燃料」。植物などの生物資源(バイオマス)を原料とするこの燃料は、カーボンニュートラルの理念に基づき、軽油や重油といった化石燃料の代替エネルギーとして期待されています。しかし、「バイオ燃料」と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。本記事では、地球温暖化抑制に貢献する代表的なバイオ燃料について解説していきます。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにするという考え方です。植物は光合成によって二酸化炭素(CO₂)を吸収するため、植物由来のバイオ燃料が燃焼時にCO₂を排出しても、その吸収量と相殺されると捉えられます。

バイオ燃料の種類~液体から気体まで

バイオ燃料には固体・液体・気体のそれぞれの形態のものがありますが、ここでは液体・気体バイオ燃料を、その性状や製造方法によって、以下の4種類に分類します。

バイオディーゼル

廃食油などの植物油を原料とし、主に軽油の代替として利用されます。精製が比較的容易で、実用化が進みやすいのが特徴です。当社が製造するバイオディーゼル燃料このタイプ(FAME、脂肪酸メチルエステル)であり、こちらの記事で詳しく紹介しています。

バイオディーゼル燃料「FAME」の強みとは?~カーボンニュートラル実現への貢献と三和エナジーの高品質な取り組み~

バイオエタノール

サトウキビやトウモロコシといったバイオマスを発酵・蒸留して製造されるアルコール(エタノールあるいはエチルアルコール)系の燃料です。ガソリンとの混合が容易ですが、これまでの製造方法では食料との競合が懸念されています。

バイオジェット燃料

航空燃料(SAF、持続可能な航空燃料)としての実用化が進んでいます。製造方法には、バイオディーゼル同様に廃食油などの植物油を原料とする方法(HEFA、水素化処理脂肪酸エステル)やアルコールを原料とする方法(ATJ、アルコール to ジェット)など方法があり、2025年春に日本でも本格的なHEFAタイプの製造が開始されました。なお、製造過程でバイオディーゼル(HVO)やバイオナフサが副産物として得られます。

バイオガス

これまでの液体燃料とは異なり、生ごみや下水汚泥、家畜の糞尿などの廃棄物を微生物によって分解してメタンを発生させて製造されるガス状の気体燃料です。そのままで発電や熱源として利用する場合もあれば、海外では精製することでガス中のメタン濃度を更に高め、天然ガスと同じように利用・流通させる取り組みも始まっています。

本稿では、特に注目されているバイオディーゼルのSVO(ストレート植物油)、FAME(脂肪酸メチルエステル)、HVO(水素化精製植物油)について詳しく見ていきましょう。

バイオディーゼルの詳細解説

SVO(ストレート植物油)

廃食油や菜種油、パーム油、大豆油、ジャトロファ油などの植物油を、フィルター処理、加熱、静置といった比較的簡単な処理で異物や水分を除去した燃料です。

強み

製造時のCO₂排出量削減: 精製工程が少ないため、製造プロセスにおけるCO₂排出量を低く抑えられます。

・低コストでの導入可能性: 廃食油を最大限に活用できるため、製造コストを抑えられます。また、軽油やA重油との混合利用も検討されています(混合比率:SVO10%~30%)。船舶燃料としての応用も研究されています。

弱み

品質のばらつき: 原料となる植物油の種類や品質によって、燃料の品質にばらつきが生じやすく、世界中で広く利用することは難しいとされます。

・機械への不具合リスク:軽油代替と比較すると動粘度が高く、車や建設機械などのディーゼル(軽油)燃料の代替としては不向きであり、ディーゼルエンジンでも大型の船舶用など、(軽油やA重油に較べて高粘度の)C重油代替の場合としての利用が考えられています。

FAME(脂肪酸メチルエステル)

前記のSVOの難点を解決するため、廃食油などを化学反応により、軽油に近い性質(低粘度)に改質した燃料です。地域で回収された廃食油を原料とすることで地産地消が可能となり、低コストで既存の機械を大幅に改造することなく利用できるため、軽油やA重油の代替エネルギーとして広く検討されています。

強み

低コストでの導入: 製造コストや輸送コストが比較的安価なため、ユーザーにとって導入しやすいというメリットがあります。

・既存設備への高い適合性: JIS規格では現在、軽油に5%までのFAME混合が認められており、このB5軽油は、同規格で軽油と同等と認められています。このため既存の建設機械や車両にそのまま使用でき、導入のハードルが低くなっています。

・温室効果ガス削減量の算出容易性: 軽油との混合割合が明確であるため、使用量に応じて削減できる温室効果ガスの量を容易に算出できます。企業の環境目標達成や報告において重要な要素となります。

弱み

・製造業者ごとの製品の品質ばらつき: 事業者の中には不純物などを適切に取り除かないままで販売する場合があり、低純度の粗悪な製品が出回る場合があります。これらは長期間使用しているとエンジンへの深刻な悪影響を引き起こす恐れがあります。(当社は不純物の除去だけでなく減圧蒸留工程を経ることによって、製品の安全性を最大限に高めています)

・ 酸化しやすい性質: FAMEの分子構造上、酸化が進行しやすく、長期保管や燃料の品質劣化がこれまでの軽油よりも早まる可能性があります。

・ 低温環境下での凍結: 油脂の性質から、寒冷地での燃料使用において問題が出る可能性があります。

HVO(水素化精製植物油)

植物油や廃食油を水素化精製という技術で改質した燃料です。製造工程は、SAF(持続可能な航空燃料)のそれに近く、HVOは主に軽油の代替として、SAFはジェット燃料の代替としての利用が期待されています。

強み

既存設備への適合性: 機械の改造なしに利用できます。

・優れた低温性能: 低温環境下でも凍結しにくい特性を持ちます。

・優れた長期保存性: FAMEと比較して長期の保存安定性に優れています。

弱み

高い製造コスト: FAMEと比較すると、製造に水素を使用するなど製造コストが高く、現在はほぼ輸入品であるため、輸送コストや製造時のエネルギー消費が課題となっています。

・軽油としての使用:軽油やFAMEと比較すると密度が低く、現在の日本の法律(通称:軽油税法)ではそのままでは軽油として認められません。

まとめ

建設業界では、入札や工事成績評価において、施工時や竣工後のCO₂排出量削減が評価される傾向が強まっています。また、一部自治体では市バスの燃料としてバイオディーゼル燃料を導入する事例もあり、環境配慮型燃料の需要は着実に拡大しています。

貴社のSDGsへの取り組みの一環として、バイオ燃料の導入を検討してみてはいかがでしょうか?当社では、総合的にバランスに優れたバイオディーゼルとして主にFAMEを取り扱っております。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。担当営業が詳しくご説明させていただきます。

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