track record実績
NTTアノードエナジー「エネルギーの心臓と血液」EESS事業が支える緊急時の燃料供給
- クライアント
- NTTアノードエナジー株式会社
- 業種
- エネルギー流通ビジネス
- 給油対象物
- 非常用発電機・移動電源車
NTTグループの「電気通信サービス」を下支えし、電源開発・調達・調整・販売まで一気通貫の「エネルギー流通ビジネス」を展開しているNTTアノードエナジー株式会社 安全統括部 災害対策室の橋本様と樋掛様にお話を伺いました。
現在災害対策室は何名体制で行っているのですか?
橋本氏:本社としては私と樋掛の2名体制ですが、各エリアにも災害対策室を配置しており、全国で災害に備えた体制を構築しています。
有事の際には他の組織に属する災害対策本部員の皆様を召集し、災害対策本部として災害復旧活動を行っています。
他の組織の方々は何名くらいの人数ですか?
樋掛氏:今年の能登半島地震の時点では、本社で約150名の方が災害対策本部員として委嘱されておりました。これ以外にも災対要員の方(実務的に回していただく方)も含めると実際はそれ以上の人数となります。
何かあった際に集合するというスキームですか?
橋本氏:そうですね。宿直体制ではないですが、基本的には2人で常時情報収集をしており、有事があった際には一斉通報システムを使用し、皆様を呼び出しさせて頂いております。もちろん24時間365日監視センターでも設備故障や停電監視をしていますよ。
―なかなか遠出は出来なそうですね…
橋本氏:そうですね!基本的には遠出はなかなか出来ないです。
何かあったときにすぐ帰れるようにしています。
―プロ根性ですね。
災害対策室では何年勤務されていますか?
橋本氏:私はまだ1年です。
これまでも2名体制で行っていたのですか?
橋本氏:過去には3名体制の時代もありましたが、それ以降はずっと2名です。
災害発生時には御社が弊社と連携して復旧活動(事業)を行って頂いているのと同様に、我々もNTTグループ各社の配下に入って活動を行っています。一企業でもありますので、どうしても事業という側面もあり、現場での復旧活動は実施部門が対応する。我々災害対策室はその実施部門を統制する災害対策本部の運営と日常の備え、すなわち仕組み造りを担っている組織となります。その為人員は少なくなっているということかと思っています。とはいえ24時間情報を集め、何かあれば初動で動かないといけないですし、年々災害の頻度や規模も大きくなって来ていますので2名体制が厳しいというのは事実です。
有事があった際はどのように連絡が入るのですか?
橋本氏:多くの場合、災害対策室で能動的に情報を掴んで動いています。基本的にはスマートフォンで常に情報をキャッチしています。その為、ニュースにならないような局所的な災害等は、御社営業担当からの情報の方が早い時もあります(笑)
てっきり災害情報などは自動でスマートフォン等に連絡が来ているのだと思っていましたが、定期的に情報収集をしておかないと見逃してしまうということですね。
橋本氏:もちろんスマホに色々な防災アプリを登録してもいますし、ウェザーニュース等のサービスでメールが届く様にもなっていますが、届くまで数分間のタイムラグもあります。
監視端末の設定次第では故障や停電情報をメール等で飛ばせる様ですが、これだと災害なのか故障なのかが分からない。どちらかというとそういう機能は現場の方が日常の故障対応向けに使うものになりますね。
今年の能登半島地震の対応フローはどのような流れでしたか?
橋本氏: その日、たまたま私は家にいましたが、樋掛は実家に帰省中でした。地震があり、テレビをつけた際には震度5強でした。首都圏エリア外においては震度6弱以上の地震が発生した場合に自主参集するというルールではあるものの、停電等の影響も懸念されることから、パソコンを立ち上げる準備をしていました。その後すぐに震度7の地震が発生しましたので、災害対策本部を立ち上げたという流れです。
そこから弊社グループに対して燃料の要請等はどういったフローで行いましたか?
橋本氏:過去の災害対応の経験則になりますが、地震の場合は復旧活動も長期化することから、私の判断で緊急の態勢構築をお願いさせて頂いた。発災日は津波警報で社員も避難をしていた。停電ビル数もそこまで多くはなく、隣県でも停電はありましたが、すぐに復旧したため能登エリアのみが停電継続していました。また停電しているビルも発電機が設置されていない比較的小規模なビルが多かったです。バッテリー設置のビルは移動電源車での電源救済対応となりますが、初日は津波警報で動けないことや、発電機での燃料消費も少ない、ということから発災翌日に弊社の拠点ビルに到着して頂ければ、と担当営業さんと話をしました。また能登半島の先の方は道路状況が良くないため、ローリーは小型の車両1台の要請をさせて頂きました。これが最初の動きになります。
他にも燃料を持って行こうかと打診を頂いた先もあったのですが、臨機応変に対応できるのは普段からお付き合いをさせて頂いている御社かなと思い、お願いをさせて頂きました。本当に動きが早く非常に助かりました。
ありがとうございます。
過去のお話にはなりますが、橋本さんを通じてやり取りをさせて頂くようになったのは東日本大震災の時ですか?
橋本氏:東日本大震災の際は、私が直接御社とやり取りをすることはありませんでしたが、首都圏の計画停電等に伴う燃料オペレーションでお世話になったのは存じ上げております。
当時は、直ぐに災害対策本部を立ち上げ、3週間ほど都内にいました。その後は一月ほど、宮城県や青森県の現場に出て津波による浸水被害の影響調査や緊急設備点検等を行っていました。
橋本さんが燃料オペレーションを担当して最初の災害対応について覚えていらっしゃいますか?
橋本氏:直接的にという観点では、最初は確か熊本地震(2016)の際だったと思います。熊本地震の際は御社と、グループになる前のヒラオカ石油さんからも連絡を頂いた記憶があります。
実務的に対応したのはその時が初めてだったと思いますが、その時も動きが早かったですね
以降も大きいものから局地的なものまでやり取りをさせていただいている中で、弊社への印象を教えてください。
橋本氏:やはり能登半島地震の際の印象が強いです。
聞いていた現場の状況と実際の状況が異なっていたり、情報の錯そうも多かったりと各所で連携が必要だったので、担当営業さん、北陸の統制部門と連絡を取っていました。急遽の予定変更や道路渋滞で移動が深夜帯になってしまうなど、色々とご不便ご迷惑をおかけしましたが、ご理解ご協力頂き大変感謝しております。
特に道路啓開が進まない中、大型ローリーを備蓄基地とした複数台の小型ローリーによるデリバリー運用や渋滞を考慮した入替ローリーの先行配置など、これまでのノウハウをもとに機転を利かせて動いて頂けたおかげで助かりました。
私たちは先読みして動いていくのが仕事です。御社は正にその動きを実践して頂いたと思っております。
燃料以外にも災害復旧するにあたって様々な資機材があると思いますが、協力している会社さんは全国にいらっしゃるのでしょうか。
橋本氏:燃料以外では発電機用の潤滑油が必要になります。NTTグループにエヌ・ティ・ティ・ワールドエンジニアリングマリンという海底通信ケーブル事業を行っている会社があります。その会社に今回の能登半島地震でも1か月ほど、現地に常駐して頂いて潤滑油の調達や交換作業を行って頂きました。
それ以外ではメーカーさんになります。今回の能登半島地震ではメーカーさんが現地に行くケースはさほどなかった様に思いますが、東日本大震災の際は現地に行って頂き、一緒に故障対応などを行って頂いております。
ただまずはやはり燃料です!
東日本大震災の経験から燃料オペレーションが大切であるという共通認識がNTTグループ内に広まり、より注目されるようになったと思います。東日本大震災時は1,400ビルほどの停電を経験しました。
私たちにとって発電機は心臓部です。御社はその心臓部を動かす血液のような存在であると感じております。燃料がないと動かない、電気も送れないので一緒に動いていく大切なパートナーであり、一心同体の関係性です。
御社グループとして災害対応に関する活動指針などはありますか。
橋本氏:まずNTTグループは電気通信事業のサービスを提供しています。災害対策基本法に基づき防災業務計画を国に提出しており、各社で災害等対策規程を定めています。グループ全体での共通部分にもなりますが、その中の第一条に通信を守るというものがあります。それが我々NTTグループの指定公共機関としての使命です。NTTアノードエナジーは指定公共機関ではありませんが、彼らと一緒に復旧活動を行っていくという責任分担会社として、同じ目的・意識を持って行動しています。また電気通信を守るに際して、一番重要なのはやはり現場の復旧活動に従事される皆様の安全です。今回の能登半島地震の復旧活動でも崖崩れ等がありました。弊社の社員だけではなく、協力して頂く各社の皆様の安全をしっかり確保したうえで活動して頂くというのが基本方針になります。
東日本大震災の際は休憩が取れない。瓦礫の散乱によりカーナビ上の道のない道を走っていた。ということもありました。そのような経験から様々な災害時の仕組みや管理ツールを作成し、安全を確保したうえで災害時の運営を行っています。
具体的に移動電源車を走行管理するツールなどはありますでしょうか。
橋本氏:ドライブレコーダーが付いた位置情報システム「docoですcar」を全ての移動電源車に導入しており、車両の軌跡や現在どこを走行しているかも分かります。トラブル発生時には直前の画像を確認でき、社員の安全管理を行っております。
他にもグループ会社のシステムを活用しながら、現場情報を確認しています。ただ、最後は現場に出ている皆様からの情報を最優先で安全作業に努めております。
担当営業の印象やエピソードなどがあれば教えてください。
樋掛氏:展示会などでお会いしたことはありますが、私自身は直接連絡を取ることはなかなかありません。ただ、災害等があれば災害対策室長にすぐ連絡をしてくださる方として認識しております。有事の際に先駆けてご連絡を頂けるので、営業の鑑みたいな方だなと思っております。
橋本氏:ショートメールをたくさん頂きます。ありがたいショートメールです。
移動などで連絡が取れなくなるタイミングでは、必ず前後にショートメールが来ます!
「これから飛行機乗ります」とか「今つきました」など(笑)
こうやって今自分がどこにいるか連絡をくださいますし、有事の際にもすぐにご連絡を頂けるのでとても助かります。
普段からお仕事を通じて様々なやり取りをしているからこそ有事の際にもすぐにお話も出来ますし、困ったときにはお願いをすることも可能な関係性なのかなと感じております。
長くお付き合いすればするほどNTTグループのやり方や重要性もご理解頂けるので、私たちも非常にやりやすいです。
今後弊社グループに期待することを教えてください。
橋本氏:首都直下地震や南海トラフ地震が起きた際にどういうオペレーションをしていくか具体的にはまだこれからです。燃料に関してどこまで出来るかが分からない(被害が分からない)が、最悪を想定して準備していくしかないかなと思います。断片的には出来ている部分もありますが、仕組みの中で回していけるかというとそれだけではまだ出来ない。南海トラフの様な複数エリア横断的な災害はまだ経験が少ない事もあり、訓練なども含めて準備をしていこうとしているところです。
御社グループはエリアを拡大している真只中だと思うので、全国的に対応して頂けると嬉しいです。また、被災者の皆様や復旧作業に従事される方が困らないように会社の垣根を越えて動いていかなければいけないと思いますので、一緒に頑張っていきましょう
橋本さん、樋掛さん貴重なお話をありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします!
編集後記
今回はNTTアノードエナジー株式会社の橋本さま、樋掛さまにお話を伺いました。
グループ全体としては、20年以上にも及ぶ災害対応における燃料油給油作業を通じて、弊社が担っている使命の重要性を今回のインタビューを通じて、再認識しました。
これからも通信を24時間365日途絶えさせないよう、サポートさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。