危険物施設の点検内容と業者選定の方法とは?

危険物施設とは、消防法で定められている火災につながる可能性が高い液体や固体などを製造・貯蔵・取り扱う施設を指しています。危険物施設に不備があると、重大事故につながりかねないため、定期的な点検を行い、事故を未然に防がなければなりません。点検を業者に外注する場合は、慎重な選定が必要です。
ここでは、危険物施設に必要な点検内容と、その点検を請け負う業者の選定方法について詳しく解説します。
目次
危険物施設の点検内容とは
危険物施設の施設区分と点検項目について解説します。
危険物施設の施設区分
危険物施設の施設区分は、以下の通りです。
・危険物製造所(1区分)
危険物の製造を目的とした施設で、製造を行う建物だけではなく、他の工作物や空地、附属設備も含む。
・危険物貯蔵所(7区分)
屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所(タンクローリー等)、屋外貯蔵所の7区分。
・危険物取扱所(4区分)
給油取扱所(ガソリンスタンド等)、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所の4区分。これらの施設には、各区分に応じた火災予防や漏洩防止のための構造や設備上の細かい規定が設けられています。
危険物施設の点検項目
消防法において、対象となる危険物施設については、原則として1年に1回以上の定期点検が義務付けられています。点検項目は、対象となる危険物施設の区分ごとに定められていますが、主に対象施設の位置・構造・設備が、技術上の基準に適合しているかどうかという点です。点検記録の保存期間は原則として3年間です。
点検対象となる危険物施設は、以下の通りです。
- 指定数量の倍数が10以上、及び地下タンクを有する「製造所」
- 指定数量の倍数が150以上の「屋内貯蔵所」
- 指定数量の倍数が200以上の「屋外タンク貯蔵所」
- 指定数量の倍数が100以上の「屋外貯蔵所」
- 全ての「地下タンク貯蔵所」
- 全ての「移動タンク貯蔵所」
- 地下タンクを有する「給油取扱所」
- 全ての「移送取扱所」
- 指定数量の倍数が10以上、及び地下タンクを有する「一般取扱所」
指定数量とは危険物の危険性を定めた数量で、規制の基準値として用いられます。
また、貯蔵タンクを有する、特に危険物の漏洩が環境汚染や重大事故につながる可能性の高い危険物施設においては、通常の定期点検に補完する「漏れの点検」が義務付けられています。対象は地下貯蔵タンク、外郭が強化プラスチック製の二重殻タンク、地下埋設管、移動貯蔵タンクなどで、通常の定期点検で行う目視の点検に加え、タンク内を加圧するなどの方法で漏れの点検を実施する必要があります。
危険物施設の点検業者選定の流れ

危険物施設の点検を実施することができるのは、
- 危険物取扱者
- 危険物施設保安員
- 危険物取扱者の立ち会いを受けた、「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」
です。
危険物取扱者
危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物を扱う際に必要な国家資格で、甲種、乙種、丙種の3種類あり、甲種は全ての危険物の取扱いと無資格者の立ち会いが可能です。
また6か月以上の実務経験があれば、危険物取扱作業の保安に関する監督業務を行う危険物保安監督者になれます。
乙種、丙種では、扱える危険物は限定され、丙種は危険物保安監督者や立ち会い者になることはできません。
危険物施設保安員と危険物取扱者の立ち会いを受けた、「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」
危険物施設保安員とは、危険物保安監督者の補佐を行う人のことで、製造所等の所有者や管理者が選任します。特に資格は必要ありません。
危険物施設の中で、「製造所」、「屋外タンク貯蔵所」、「給油取扱所」、「移送取扱所」においては、扱う危険物の指定数量に関係なく、常に危険物保安監督者を選任しなければなりません。
取り扱う指定数量に関わらず危険物施設保安員を選任しなければならないのは「移送取扱所」のみですが、規定の指定数量を超えた多量の危険物を取り扱う場合は「製造所」や「一般取扱所」でも選任が必要です。
つまり、危険物保安監督者、または危険物施設保安員が選任されていない各種の危険物施設において、「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」(点検業者)の外注が必要です。次項から、どのような点に注意して点検業者を選定すれば良いか見ていきましょう。
点検業者の選定ポイントの整理
外注の点検業者を必要とするのは、主に危険物保安監督者や危険物施設保安員を選任する必要がない、「地下タンク貯蔵所」や「移動式タンク貯蔵所」です。
しかし、「地下タンク貯蔵所」は目視では発見し難い腐食が発生しやすく、「移動式タンク貯蔵所」は運行時の揺れなどの過酷な状況の中で使用されているため、これらの施設の点検には高い技術と知見が必要で、慎重に点検業者を選ばなければなりません。
信頼できる点検業者かどうか判断する材料のひとつとして、一般財団法人「全国危険物安全協会」が管理・運営する定期点検事業者認定制度があります。これは、事業者からの申請に基づき、その事業者が、地下タンク及び移動貯蔵タンクの適切な点検を実施する体制が整っているかについて認定する制度です。
点検方法の種別、事業所数、点検実績、使用点検資機材、点検技術者名簿や、万が一の事故に対する賠償責任能力に基づいて審査が行われ、地下タンク等定期点検認定事業者と移動貯蔵タンク定期点検認定事業者がそれぞれ認定されています。ウェブサイト上で認定事業者が公表されていますので、参考となるでしょう。
業者の実績や信頼性の確認
候補となる点検業者の実績、得意分野などは、当該業者のホームページで確認する、あるいは直接問い合わせてみるのが良いでしょう。もし可能であれば、実際に当該業者が点検を実施した事業所に問い合わせてみるのが信頼性を確認する最も確かな方法のひとつです。
見積書の比較・検討
候補の業者をある程度絞り込んだら、点検の見積を各業者に依頼します。見積依頼は単に価格が比較できるだけではなく、対応スピード、見積の根拠の明確さ、あるいは提案力などから業者の信頼性をはかることもできる重要なステップです。
契約書の取り交わし及び納品物の確認
業者が決まったら正式な発注をします。出来ればここで正式な契約書を取り交わし、納品物や納品形態、納期などもしっかり確認しておくとよいでしょう。
まとめ
全国の危険物施設の多くは老朽化が進み、火災や漏洩事故が増加傾向にあります。危険物施設の点検は、危険物を安全に取り扱うために施設管理者に課せられた最低限の義務です。万が一の事故を起こさないよう、点検には信頼できる業者を選び、定められた点検内容をしっかり守りましょう。危険物施設の点検内容と業者選定の方法については本記事を参考にしてみてください。