A重油の特徴や用途とは?メンテナンス方法についても解説

重油と言えば、同じ石油から精製されるガソリン、軽油、灯油などと比べると一般的にはなじみが薄いかもしれません。しかし、社会を支えるさまざまな分野で、重油は大変重要な役割を果たしています。
ここでは重油の主要な種類の1つであるA重油の特徴や用途、メンテナンス方法について説明します。
目次
A重油とは

重油は原油から精製される石油製品のひとつです。原油は、含まれる成分の沸点の違いを利用して、分離精製されます。
沸点の低い順に石油ガス(LPガス)、ガソリン・ナフサ、灯油、軽油と精製され、残渣(最後に残った油)から精製されるのが重油です。
重油にはタールやアスファルトが含まれており、他の石油製品よりも重く、粘度が高いのが特徴です。
また、重油は動粘度(粘り気)の違いにより、A重油(1種)、B重油(2種)、C重油(3種)の3種類に分類されます。実は重油を精製する際には、軽油が混合されており、混合する軽油の割合が高い程、動粘度は低くなります。含まれる軽油の割合は、A重油が約9割、C重油が約1割です。
従って、動粘度もA重油<B重油<C重油の順に高くなります。
動粘度の高いC重油の方が燃焼後の灰が多く、燃焼によって環境汚染の元凶となるSOx を発生させる硫黄分を多く含んでいます。
このことからも、A重油の方がC重油よりも扱い易い重油だと言えます。B重油はA重油とC重油の中間になりますが、実際に使われているほとんどがA重油かC重油です。
A重油の用途

重油は主に燃料として使われています。A重油はC重油に比べて品質が良いですが、その分値段も高くなります。
従って、燃料として使う場合、品質の優劣よりもスケールメリットが勝るような大型のボイラーや船舶にはC重油を使い、中小型のボイラーや船舶にはA重油を使うのが一般的です。
また、A重油も、含まれる硫黄分の割合によって、硫黄分0.5%以下を1号(LSA重油)、0.5%~2.0%を2号(HSA重油)と分類されています。
硫黄分の割合が低い方が「品質が高い=価格も高い」ので、ここでもスケールメリットや品質の優劣を考慮して使い分けがされています。
では、A重油の具体的な用途を見ていきましょう。
発電用燃料や産業用ボイラーの燃料
A重油は、主に中小型の発電施設や産業用ボイラーの燃料として使用されています。工場や学校にある暖房用や給湯用、農業用ハウスなどで使用されます。
船舶燃料
こちらもA重油は主に中小型の船舶のディーゼルエンジン用に使用されており、タンカーや大型船舶にはC重油が多く使用されています。
ビニールハウスの暖房の燃料
A重油は、農業や漁業の用途に使われる場合には消費税以外の税金がかかりません。成分は軽油とほとんど変わらないまま、燃料代を削減することができるため、農家のビニールハウスの暖房によく使われています。
A重油を扱う際のタンクメンテナンス

A重油が正常に使われるためには、燃料タンクの適切なメンテナンスが欠かせません。ここではA重油を扱う際にタンクメンテナンスが必要な理由や、メンテナンス方法を説明します。
スラッジがトラブルの原因になる
A重油を長期間タンク内に放置していると、温度の変化や酸化によって劣化し、分離を始め、タンクの錆びや水分と混合してタンク底部にスラッジとして堆積していきます。
スラッジは固形または半固形状のもので、集積すると水分と結びつきやすくタンクの腐食が進み、タンクに穴が空くなどの重大なトラブルに発展する可能性があります。
また、勢いよく給油した際などにスラッジが攪拌されると、燃料を吸い込むフィードポンプに取り付けられた燃料フィルターが目詰まりを起こし、エンジン不調を起こす可能性もあります。
スラッジの発生予防と除去のために、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
タンク内のメンテナンス方法
タンク内の重要なメンテナンスの1つが、定期的なタンク内の清掃です。
タンク内の清掃方法として、人がタンク内に入って行う進入清掃があります。タンク内に入り高圧で水を噴射する方法や、化学薬品を使って薬品洗浄などを行います。
いずれも、最初にタンク内の残油を抜き取り、その後、タンク内を洗浄します。引火性の危険物を扱う上、タンク内は有害ガス発生の危険性や酸素濃度が薄い可能性もあり、安全には充分配慮しなければなりません。
タンク内に空気を送り込み、酸素濃度が人体に影響のないレベルになるのを確認するなど、万全の安全対策が必要です。そのほか、三和エナジーが開発した移動式燃料メンテナンス機器である「ロカクリーン®」も、タンクメンテナンスには便利にお使い頂けます。

ロカクリーン®とは、タンク内の重油を吸引し、フィルターによって重油に含まれる異物を除去してから、再び、タンク内に戻すシステムです。
この方法は、タンク内の残油を抜き取ることも、人がタンク内に進入することも必要ないため、コスト面や安全面においても優れています。
また、ろ過作業中に機械を作動させることが可能なので、常に作動可能な状態にしておきたい非常用電源などのタンクの洗浄にも向いています。
3tトラックに搭載されており移動が自由なため、残油抜き取りに必要な大型ローリー車などが近付けないような地下タンクにもおすすめの方法です。
※「ロカクリーン®」は、三和エナジー株式会社が特許を取得しています(特許庁 特許証 第6941249号)
まとめ
A重油はさまざまな用途に使われており、今後も、従来の用途に加え、温室効果ガスの排出を抑えたバイオディーゼル燃料(BDF)と混合したバイオ混合燃料としての利用も期待されています。
一方で重油は引火性液体として消防法に規定する危険物に該当しますので、取り扱いには充分な注意が必要です。
A重油の特徴や用途、メンテナンス方法については上記を参考にしてみてください。